人事制度と就業規則に強い、京都・大阪の社会保険労務士 藤井社労士事務所

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1.給与計算正しくできていますか?

(1) 給与計算業務でやること

給与計算業務とは、単純に従業員の給与を計算して支給するだけではなく、
それに付随してさまざまな業務を行う必要があります。

① 就業規則(給与規定)の作成 

給与規定を設けずに社長の独断や経験で決定していたのでは、かえって手間がかかり、従業員が増えてきたときに対応が困難になります。また、従業員が不公平感を感じることも多くあります。
就業規則に、または別規定として「給与規定」を設けることで、給与の決定・計算・支払い方法などを明確に定め、給与業務を単純化できる効果があります。
また、給与の透明性を高めることで従業員の不公平感を取り除くこともできます。

② 人事データの収集

従業員の給与に関する必要なデータを収集・管理します。
具体的には入社・退職・結婚・出産・死亡・出勤日数・労働時間などです。
毎月の手当てなどが変わる可能性があるので、遅くとも賃金〆日まで、できるだけ速やかに従業員に報告してもらうようにしておく必要があります。

③ 労働保険・社会保険の手続き

従業員の入社時の資格取得、退職時の資格喪失手続きはもちろん、それ以外に、病気・ケガ・老齢・死亡などが発生した際にも手続きをする必要があります。

④ 毎月の給与計算と支払い・賞与の計算と支払い

給与業務担当者の主要な仕事がこれになると思います。
就業規則や給与規定に基づき、各従業員の給与や賞与の総額を計算、社会保険料などの控除額を算出し、差し引き支給額を計算します。
その金額に基づいて明細を作成し、振込みの手続きなどを行います。

⑤ 退職金の計算と支払い

退職金は法律で義務付けられたものではないので、必ずしも発生しませんが、退職金規定がある会社では、その規定に基づき退職金を計算・支払いの手続きをします。
また、従業員の退職にともない発生する労働保険・社会保険の手続きも同時に行います。

⑥ 労働・社会保険料、税金の納付

(a) 労働・社会保険料

雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険・介護保険があります。
このうち、雇用保険・労災保険については年1回の納付になります。
健康保険・厚生年金保険・介護保険については、前月分の保険料を各従業員の給与から控除し、当月末までに納付します。

(b) 税金

所得税と住民税があります。
各従業員の給与から控除し、翌月10日までに納付します。

⑦ 年末調整

⑥で徴収・納入した所得税はあくまでも仮のものでしかありません。
各従業員の1年間の給与総額について正確に税額を計算し、すでに支払った金額との差を精算します。
年末調整は給与業務の中でも最も重要な業務といえるでしょう。

(2) 給与となるもの、ならないもの

労働基準法上で給与とは3つの要件を満たしたものとなります。

① 賃金・給料・手当・賞与その他名称の如何を問わないもの 

基本給や役職給だけでなく、家族手当・住宅手当なども給与として扱われます。

② 労働の対償として支払うもの

会社が従業員に対して支払うもののうち、会社との雇用契約のもとに従業員が提供する「労働」に対して支払われるもののことを言います。
「任意的、恩恵的なもの」「福利厚生施設」「企業設備、事務費」などは、原則として労働の対象とはいえません。

③ 会社が従業員に対して支払うもの 

会社が従業員に対して支払うもの以外は給与には該当しません。
たとえば、社外で積み立てている退職金や、会社を経由せずに直接受け取る「チップ」も給与とはなりません。

【給与に該当するものとしないものの例】

給与に該当するもの

給与に該当しないもの

所得税・社会保険料などの従業員負担分を会社が負担する場合

生命保険料(会社が従業員を被保険者として団体生命保険に加入した場合、会社が毎月負担する生命保険料)

通勤費(支給基準が定められている通勤手当またはその定期券)

出張旅費・日当・役員交際費・作業着などの実質弁償的なもの

チップに類するものであって、いったん会社(使用者)に入った後に、従業員に再分配されるもの

旅館の従業員などが客から受け取るチップ

会社が任意的・恩恵的に支払う退職金、結婚祝い金、死亡弔慰金などで支給条件が就業規則などで明確なもの

会社が任意的・恩恵的に支払う退職金、結婚祝い金、死亡弔慰金などで支給条件が明確で無いもの

(3) 守らなければいけないルール、やってはいけないこと

給与の支払いをするに際して、労働基準法などでは支払い方法などのルールと、してはならないことが規定されています。

① 賃金支払いの五原則 

給与を支払う際は、労働基準法に定められた給与支払いの5原則を守らなければなりません。

内容

例外

 給与は通貨で支払わなければならず、給与の代わりに会社の製品などの現物や、小切手を支給することはできません。
1. 労働協約(会社と労働組合との間で締結された協約)に定めがある場合、定期券や自社製品などの支給が可能
2. 各従業員の同意(口頭でも可)があれば、預貯金口座への支払いが可能。振込口座を会社に教えた場合、同意をしたとみなされます。
3.退職金について、従業員の同意を得た上で、預貯金口座への支払いのほかに、銀行振り出し小切手や支払保証付小切手、郵便為替での支払いが可能
 給与は従業員本人に直接支払わなければなりません。
 例え従業員の委任を受けた代理人でもダメです。
病気などで欠勤をしているときなどに、家族などの使者に対しては認められています。
 給与はその全額を支払わなければならず、貸付金などを控除して支払うことはできません。
1. 法令に別段の定めがある、社会保険料、税金などの控除
2. 労使協定(従業員の過半数を代表する者との協定)に別段の定めがある場合、社宅費用や購入物品の立替代金などの控除
3.毎月の給与額で100円未満の端数が生じたとき、50円未満を切り捨て、50円以上を100円に切り上げる場合や、1000円未満の端数を翌月に繰り越してしはらう場合
 給与は毎月1日から月末での間に、少なくとも1回以上支払わなければなりません。
 たとえ年俸制でも、分割して毎月1回以上支払うことになります。
臨時に支払われる給与(退職金・祝い金・災害見舞金など)や賞与、1カ月を超える期間の成績によって支払われる皆勤手当て・勤続手当など
 給与は「毎月25日」や「毎月月末」、「毎週金曜日」など日を特定して支払わなければなりません。
 「毎月第3金曜日」や「毎月20日~25日」のように変動する支払日の決め方はできません。
臨時に支払われる給与(退職金・祝い金・災害見舞金など)や賞与、1カ月を超える期間の成績によって支払われる皆勤手当て・勤続手当など

(4) 減俸処分について

労働者に対する懲戒処分の一つとして、労働をして本来得られるはずの賃金から一定の額の賃金を減額して支給することができます。
就業規則や内規などで減給処分について定める場合は、「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」とされています。
たとえば月給30万円(1日の平均賃金1万円)の人の場合、1回あたりの金額は5000円までとなり、何回も減給の制裁に該当する行為を行ったとしても、1月あたりでは3万円までとなります。これを超える減給処分はできません。
この制限を越えた場合には違法となりまので、注意が必要です。
この処分では軽すぎるというような場合には、たとえばこれとは別に出勤停止等の処分を行うことはかまいません。