お世話になります。京都・大阪の社会保険労務士の藤井です。
◆不足分の穴埋めが条件
厚生労働省は、財政難の厚生年金基金(いわゆる「特定基金」)を対象として、年金資金が積立不足のままであっても解散することができる特例措置を、2011年から導入する方針を明らかにしました。
同省では、厚生年金保険法などの改正案を通常国会に提出する模様ですが、成立すれば、運用低迷などで存続を望まない基金は解散がしやすくなります。
◆「特定基金」と「最低責任準備金」
特定基金とは、解散しようとする日において保有資産(純資産額)が最低責任準備金を下回っていると見込まれる厚生年金基金のことをいいます。
また、最低責任準備金とは、厚生年金基金が解散した場合に、代行部分の給付の原資として企業年金連合会に返還する責任準備金(将来の給付に備えて現時点で保有しておかなければならない金額のこと)に相当する額のことをいいます。
この特定基金が解散する場合、平成17年4月1日から起算して3年以内に限り、①厚生労働大臣に対して責任準備金相当額の減額を申し出ること、②最低責任準備金の納付に関する計画(納付計画)を作成し、これを厚生労働大臣に申請してその納付計画が適当である旨の承認を受けることで責任準備金相当額の納付の猶予(不足額の分割納付)を受けること、が認められています。
◆積立不足の基金は78.2%
厚生年金基金は約465万人が加入している代表的な企業年金であり、公的年金の「2階部分」である厚生年金の一部の運用を代行しています。ただ、運用環境の悪化に伴って代行部分の年金資産が目減りしているため、積立不足に陥る基金が急増しており、格付け投資情報センター(R&I)の調査によれば、2009年3月末時点で78.2%の基金が積立不足となっているそうです。
現在、代行部分の積立不足を一括払いで解消しなければ基金の解散は認められず、穴埋めの資金がないために解散できず、年を追うごとに資産の劣化が進む悪循環に陥る基金が後を絶ちません。
◆基金の解散が増えるか
今回の特例では、基金解散後に、基金の資産を預かる企業年金連合会に、母体企業が積立不足分を分割払いで返済することを認めるものとなっています。返済期間は原則5年とされていますが、10年まで可能となっています。これにより、早期に解散したほうが加入者の利益につながる場合もあり、各基金の選択肢が増えることとなります。
過去には2005年度から2007年度にも同様の特例措置が導入されたことがあります。株価の回復などを受けて2008年度以降は廃止されていましたが、財政が悪化している基金が急増しているため、この措置を復活させる考えです。財政難にあえぐ基金の解散が今後増えることが予想されます。
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